ヤングセミナー
【レポート】人間塾2025年度第16回ヤングセミナー
2025年11月18日
2025年11月13日のヤングセミナーは、髙橋珠翠先生による書道研修でした。今年度、二回目となる書道研修ですので、塾生たちは少し慣れた雰囲気の中、研修に臨んでいるようでした。髙橋先生は塾生の書く字をよくほめてくださいます。しかし、同時に、どうすればその人の文字の良さがもっと出てくるかを端的に指摘されます。筆を持って文字を書くことが極端に少なくなった昨今、筆で文字を書き、自らの個性を表現することの大切さを感じる研修でした。
今回のレポーターは、第14期生の森瑛一郎です、是非ご一読ください。
塾長・仲野好重
人間塾第14期生 森瑛一郎
(慶應義塾大学4年)
去る11月13日、第16回ヤングセミナーが開催されました。今回のセミナーでは髙橋珠翠先生にお越しいただき、本年度2回目となる書道研修が行われました。
今回塾生が取り組んだのは、はがきにおける「字配り」です。持参した半紙やノートをはがきの大きさに区切り、宛名や住所をバランスよく書く練習をしました。前回の書道研修ではお手本となる文章を見ながら書きましたが、今回は文字の大きさや太さを自分たちで工夫する必要がありました。そのため、塾生は皆、何が正解なのか分からず、苦戦していました。
私も小さなスペースに文字を書くことが初めてだったため、太さをどのように調整すればよいか、どうすれば安定した文字が書けるのか分からずにいました。そこで、珠翠先生の手元をよく観察してみると、筆ペンの持ち方が鉛筆の持ち方と異なっていることに気が付きました。親指を他の指より高い位置に置いていたのです。前回の研修で先生は、筆ペンを立てて持つようにと指導してくださっていましたが、当時の私はその意味を十分に理解しないまま練習していました。親指を高い位置に置くことで、筆ペンを立てやすくなり、同時に人差し指と中指で縦方向の動きを制御しやすくなります。このことに気づいてからは、安定した細い文字が書けるようになりました。
しかし、安定した均一な線を書けるようになっただけでは、筆ペンの良さは十分に発揮されません。細いところは細く、太いところは太くと、線に強弱をつけて書いてこそ筆ペンで書く意味があるのです。手探りで、縦画は太く横画は細く、あるいはその逆でも書いてみましたが、なかなか思うように美しくは書けませんでした。そこで珠翠先生に、どこを太く書けばよいか尋ねたところ、書くスペースに依るから一概には言えないとお話しくださいました。おそらく、そこに決まった正解はないのだと思います。むしろそこの強弱の付け方にこそ、書く人の個性やオリジナリティが表れるのだと思います。正解がないことに不安を覚えるのではなく、どうすれば自分らしい文字が書けるのかを考えながら、ワクワクした気持ちで臨むべきだと感じました。そのオリジナリティは簡単に身につくものではないですが、少しずつ練習を重ねて自分のスタイルを確立していきたいと思います。
研修を終える頃には、塾生たちは皆すっきりとした表情を浮かべていました。また、「2時間があっという間に過ぎていった」と話す塾生もいました。普段スマートフォンやパソコンで文字を入力することが多い現代人ですが、だからこそ、たまに手で書く文字には大きな価値があると私は感じます。さまざまな手段がある中であえて手書きを選ぶことによって、書き手は気持ちを込めやすくなり、受け取る側もより温かい気持ちになるはずです。
そのようなコミュニケーションの手段として書道を学ぶことには、大きな意義があると思います。そしてその書道の基礎を丁寧に教えて下さった髙橋珠翠先生には、改めて深く感謝申し上げます。次回の研修に向けて、より自分らしい文字が書けるよう、日々精進してまいりたいと思います。





