ヤングセミナー
【レポート】人間塾2025年度第15回ヤングセミナー
2025年11月5日
2025年10月30日に第15回ヤングセミナーを開催いたしました。この日は、世界3大演説(その内容の善悪は別として)を、塾生たちに見てもらい、感想を分かち合いました。スピーカーは、ケネディ、キング牧師、ヒトラーの3名です。それぞれに、力強く説得力のある演説でした。これらを分析的に視聴し、言葉の力について語り合いました。
今回のレポーターは第14期生の坂本周悟です。是非ご一読ください。
塾長・仲野好重
人間塾第14期生 坂本周悟
(横浜国立大学4年)
去る10月30日、第15回ヤングセミナーが開催されました。季節の変わり目で寒暖差が非常に激しい時期ですが、塾生は元気にセミナーに参加しました。
セミナーは、塾長が「高市首相の就任をどう考えるか」と時事問題について問いかけるところから始まりました。塾長は情報との向き合い方について触れ、「新聞一つとっても、複数の新聞会社を読み比べ、中立的な視点を持つ努力が必要だ。一つの情報源に依存すれば、その思想に無意識のうちに影響されてしまう。だからこそ、自分たちの目で確かめ、本質を見抜く力を養わなければならない」と念を押されました。
今回のセミナーでは、ケネディ大統領の就任演説、キング牧師の「I have a dream」演説、そしてアドルフ・ヒットラーの演説の一部を視聴し、それぞれが持つメッセージと「言葉の力」について感想を分かち合いました。
ケネディ大統領の演説は、冷戦の緊張下で、自由と平和を守るためにアメリカ国民と世界が団結すべきだと力強く訴えるものでした。特に印象的だったのは、「国があなたのために何をしてくれるのかを問うのではなく、あなたの国のために何ができるかを問え」という一節です。現代の若年層の政治的無関心が話題になりますが、その無関心こそが政治の現状を映す鏡であり、国民一人ひとりが当事者意識を持つことこそが政治を変える原動力になるのだと、改めて考えさせられました。困難な時代にあっても、恐れではなく希望を、分断ではなく協力を訴えるケネディ大統領の姿勢に深く感銘を受けました。
次に、キング牧師のスピーチを視聴しました。これは、アメリカ社会に根強く残る人種差別を告発し、すべての人が肌の色ではなく人格そのものによって評価される社会を実現したいという、揺るがぬ願いが込められたものでした。自由と平等の理念の実現を訴えながらも、その手段は「尊厳と規律を守った高い次元」の非暴力でなければならないと説く姿は圧巻でした。
最後に、ヒットラーの演説の一部を視聴しました。第一次世界大戦後の深刻な不況や失業といったドイツ社会の不安を巧みに利用し、国民の期待を扇動していく、非常に力強い演説でした。当時の背景を知った上で視聴すると、彼の言葉が人々の鬱屈した感情を捉え、「この人物ならやり遂げてしまうのではないか」という熱狂的な期待を抱かせるものであったことが伝わってきました。
これら三者三様の演説に対し、塾生が「言葉に周りを動かす力を感じた」と感想を述べると、塾長は「言霊(ことだま)という言葉があるが、それは実在すると私は信じている」と応じられました。「言葉には、人を動かし、奮い立たせる力がある。しかし同時に、人を攻撃し、深く傷つける武器にもなり得る。だからこそ、私たちは自らが発する言葉に細心の注意を払い、そこに確固たる信念を込めなければならない」と塾長はおっしゃいました。
私自身、これまで塾長からいただいた言葉に励まされ、迷った時にはそれを思い出すことで決断し行動する勇気を得てきた実感があります。自らの頭で考え、社会に対して何ができるかを問い続け、そして発する言葉に魂を込めること、その重要性を改めて心に刻む時間となりました。




