ヤングセミナー

【レポート】人間塾2025年度第5回ヤングセミナー

2025年6月12日

2025年6月5日に第5回ヤングセミナーを開催いたしました。今回は、塾生たちが出した3つのテーマをもとに、即興で講演をするということをいたしました。かつて、即興のリクエスト講演会を行っていた私は、懐かしさも相まって、やってみようという気持ちなったのです。これは会場から出された何の関連性もない複数のテーマ(言葉)を、即興で一つのお話に作り上げるというものです。今回は3つのテーマが塾生から出され、30分で起承転結のあるお話を即興で行いました。考える時間は20秒ほどでしたが、話しながら、ストーリーを作っていくので、私の頭の体操になりました。

今回のレポーターは第12期生の伊藤壮司です。是非ご一読ください。

人間塾第12期生 伊藤壮司
(千葉大学4年)

去る6月5日、第5回ヤングセミナーが開催されました。本日のセミナーの形式は、塾生が出したテーマに基づいて仲野塾長が即興で講義を行う「リクエスト講義」でした。塾生から寄せられた10ほどのテーマのうち、「プライド」「友情」「武道」という3つのテーマが投票で選ばれました。テーマが決定するまでは塾長は席を外し別室で待機していました。そして3つのテーマが決定してから塾長はセミナー室に戻ってこられ、ほとんど間髪入れずに塾長の即興講義は始まりました。

まず、塾長は自身の幼少期にまつわるお話をしてくださいました。小学生の時、塾長は剣道に強い興味を抱いており、剣道の体験会に参加したことがあったそうです。しかし、竹刀の重さや裸足で競技を行う大変さから、塾長は「自分には剣道は向いていない」と痛感し、早々に剣道を続けることを諦めました。自分にはできるという「プライド」が傷ついた苦い経験となりましたが、それでも塾長は、剣道に対する憧れを持ち続けていました。

人間塾2025年度ヤングセミナー:型をする塾長

型をする塾長

その憧れから、何十年も経って塾長が40歳代の頃、「武道」の一つである薙刀(なぎなた)に挑戦することになりました。その結果、塾長は天道流という昔ながらの薙刀術の稽古を数年間続けることができました。幼少期の剣道体験とは異なり、諦めることなく「武道」を続けられたこの経験は、塾長の「プライド」を回復させました。

そんな中、塾長はチェコ・プラハにて開催された国際心理学会で発表をする機会を得ました。学会発表が終わった翌日、塾長はボヘミアン・グラスというチェコの伝統的なガラス製品が売られているお店に立ち寄りました。すると、その店のマネージャーが日本人であることが分かり、塾長はその方と意気投合しました。話していくうちに、なんとその方も薙刀をやっていることが分かりました。更に驚くことに、その方は、日本に帰国したときには必ず塾長が通っている同じ稽古場で、同じ師匠のもと、同じ流派の薙刀術の稽古を続けていることが分かりました。プラハで偶然に出会った一人の日本人との思いがけない繋がりに塾長は大変驚き、別れた後もその方との交流が続き、「友情」が芽生えたそうです。

人間塾2025年度ヤングセミナー:楽しそうです

楽しそうです

以上が、与えられた3つのテーマ「プライド」「友情」「武道」を即興で話された講義の内容です。この話は、すべてが事実であり、作り話は一つもありませんでした。

私はこの講義を聞いて、塾長の「経験をエピソードに変える力」に大きな感銘を受けました。塾長は「経験を語ることで、それはエピソードに変わる」と考えておられます。私はこの考えを咀嚼するうちに、自分はこれまで様々な経験をしてきたが、そのほとんどを語ることなく終わらせていたことに気づきました。私は人に何かを伝えることを苦手に感じているのですが、その理由が自分の経験を語る練習をして来なかったからであることを学んだ瞬間でした。

人間塾2025年度ヤングセミナー:ごちそうさまでした

ごちそうさまでした

私は将来、薬史学という薬の歴史を専攻し、そこから得られたものを人々に伝えていきたいと考えています。その時、うまく人に伝えることができなければ、薬史学は人に理解されず、社会の役に立つ学問にもなりません。専攻を通して得られた経験をエピソードとして伝えることで初めて、自分の能力を惜しみなく社会に還元するという私の使命に近づけると思います。自分の経験をエピソードに昇華させ、それを人に語る練習を今から重ねていこうと決意したセミナーとなりました。



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