ヤングセミナー

【レポート】人間塾2025年度第3回ヤングセミナー

2025年5月23日

2025年5月15日に第3回目のヤングセミナーを開催しました。この日は、修了生たちも駆けつけてくれ、自分たちの経験を分ち合ってくれました。特に、第11期生の橋沼黎君は、ベルリンに留学中ですが、自らの体験を赤裸々に語ってくれ、在塾生たちには大きな刺激になったようです。

今回のレポーターは、第14期生の森實咲人です。是非ご一読ください。

塾長・仲野好重

人間塾第14期生 森實 咲人
(千葉大学 4年)

去る5月15日、第3回目のヤングセミナーが開催されました。修了生である第11期生の橋沼黎さん、第12期生の島田優さんと若林歩花さんも参加してくださり、賑やかな中にも、内面的な成長が促される実りのある時間となりました。

今回のセミナーでは、ドイツ・ベルリンにあるバレンボイム・サイード・アカデミーという音楽院でピアノを専攻している橋沼さんがお話をしてくださいました。その後、塾生の質問や意見に答えていただくという形式で、それぞれの使命や生き方について考える機会をいただきました。

人間塾2025年度ヤングセミナー:橋沼さん(右)

橋沼さん(右)

まず、橋沼さんはベルリンのアカデミーでの生活を通して、「人間塾でやっていることは間違いではない!」という確信を持った、と話されました。また、世界に数多くある音楽大学院の中から、バレンボイム・サイード・アカデミーを選んだ理由ついてもお話しくださいました。このアカデミーは、音楽を通してよりよい世界の構築に貢献することを信条としています。よって、この音楽院では、演奏を聴いた人に単なる音楽的技術を示すのではなく、その曲に込められた作曲者の意図や心情、また曲の歴史的な背景や当時の社会を理解したうえで、演奏することを求められます。そのためには、幅広く深い教養が必要であるという考えのもと、アカデミーに通う学生は音楽だけでなく人文科学や社会科学を学ぶことが必修となっています。

橋沼さんはこの音楽院の理念に惹かれ、日本人として初めてこの音楽院への進学を許されました。この音楽院のほとんどの学生は中東や北アフリカ出身の学生で、全ヨーロッパ、アメリカ、日本などからの学生はマイノリティであり、少人数しか在籍していないそうです。この音楽院に進むことを決めた橋沼さんは、当時所属していた音楽大学の先生方にはこの選択を理解してもらえず、友人たちも離れていくという経験をされました。それは、ほとんどの音楽大学の学生はそのまま内部進学し、師事した先生のもとで学び続けるのが当たり前になっているからです。しかし、橋沼さんは自分の意志で大学院選びをし、その大学院に挑戦した日本人学生は今までだれ一人もいませんでした。よって、合格するまでの道のりは、とても険しく、苦しいものであったとお話しされました。

橋沼さんはこれらの困難を乗り越え、自分の使命を自覚して夢に向かって進まれましたが、この選択は、目先のことに囚われず、「迷った時は自分にとって苦しいと思う道を選ぶ」という人間塾の教えの賜物であると感じました。

現在、私は大学で高分子化学についての研究を行っていますが、自分の研究の完成や実用化までの目処がついておらず、その不透明な将来に対して恐れを抱いている状態です。しかし、橋沼さんのお話を聞いて、未知なるものを恐れず、進んでいくことの大切さを知り、自分の研究に対する姿勢を見直そうと思いました。

また、橋沼さんのお話が終わった後、塾長はヴィクター・フランクルの言葉を引用し、「君たちは自分の人生を前にして、この人生にいったいどんな意味があるのかと問うているが、実は、人生そのものが君に対して、『どのような意味ある人生を生きるのか?』と問うているのだ」と仰いました。私はこれを人生で遭遇するさまざまな出来事や経験から自分自身を見つめ直し、社会貢献のために、一体どのような「使命」が自分に与えられているのかを問い続けながら生きなくてはならない、と塾長は仰っているのだと解釈しました。

人間塾2025年度ヤングセミナー:塾長のお話を聞く

塾長のお話を聞く

この言葉はとても衝撃的でしたが、以前学んだ人間塾の「社会のために喜んで自分を差し出す」「喜んで損ができる人間になる」という姿勢につながると感じました。結局は、大切なことは一つであり、塾長はさまざまな言葉や表現を駆使して、私たちにそのことを伝えてくださっているのだと感じました。

今回のセミナーはディスカッション形式で、修了生の方々のお話から学ぶことが多く、心に響く体験となりました。私も自分の命を燃やしながら、熱をもって突き進めるよう、人間塾でいただく機会を大切に精進してまいります。



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