ヤングセミナー

【レポート】人間塾2025年度第8回ヤングセミナー

2025年7月31日

2025年7月17日に第8回ヤングセミナーを開催しました。この日は、私の大切にしている言葉、「Carpe Diem」を紹介しました。古代ローマの詩人・ホラティウスの詩の一節といわれていますが、ラテン語のこの言葉を直訳すると「今日をつかめ」であり、転じて「この一日を精一杯生きろ!」という励ましの言葉です。時折、この言葉を思い出して、私は勇気付けられています。

今回のレポーターは第12期生の佐々木果音です。是非ご一読ください。

塾長・仲野好重

人間塾第12期生 佐々木果音
(国際基督教大学大学院)

去る7月17日、第8回ヤングセミナーが開催されました。塾生たちは、日頃より応援してくださる方々からいただいたお菓子を囲みながら、笑顔で言葉を交わしていました。穏やかな雰囲気の中、セミナーが始まりました。

冒頭では、仲野塾長より、ご自身が最近参加されたセミナーの内容についてお話がありました。そこでは、「大学における人間教育において大切なことは何か」というテーマのもと、点数や学歴といった、いわゆる物質主義的な価値観に偏重する傾向に対し、心の豊かさを重視する価値観が十分に実践されてこなかったことが指摘されたそうです。例えば、物質主義の象徴とも言える「お金」は、それ自体に本質的な価値があるのではなく、どのように用いるかによって、その意味が大きく変わってきます。お金は単なる手段に過ぎず、その使い道を吟味することが、社会全体の活性化にもつながるのです。

人間塾2025年度ヤングセミナー:今を掴まなければ

今を掴まなければ

次に塾長は、プラトンが記したソクラテスの言葉、「吟味されざる生は、生きるに値しない」を紹介されました。これは、何も考えずに生きるということが、虚しく、危険であることを鋭く示唆しています。例えば、電車内を見渡すと、多くの人々がスマートフォンの画面に没頭しており、思考は停止し、目は虚ろで、周囲への関心も希薄になっているように見受けられます。このような時代だからこそ、私たちは「哲学する」姿勢を取り戻す必要があるのです。塾長は、考える力を養うのに最も適しているのは「読書」であると述べられました。さらに、「よい音楽を聴くこと」も、思索を深める行為の一つであると語られました。時代を超えて人々に親しまれてきた音楽に耳を傾け、その作曲家の生涯や、楽曲が生まれた歴史的・政治的背景をたどることで、音楽の聴き方も変化します。

良書に触れ、良質な音楽を味わったのちに重要になるのが、「他者との対話」です。自ら考えたことを言葉にし、それらを他者と共有することによって、思索はより豊かなものとなり、人間関係もまた深まっていきます。その際に問われるのが、家族以外にどれほど深い人間関係を築くことができているか、ということです。真に深い関係性を持つ他者の存在は、自己理解を促し、人生の意味を見出す手がかりともなります。

人間塾2025年度ヤングセミナー:語り合う先輩塾生たち

語り合う先輩塾生たち

このように、自らの思索を深めながら他者と関係を築いていくなかで、人は次第に、自分が社会において果たすべき役割を見出していきます。そして、これこそが使命となるのです。塾長はこのような生き方の姿勢として、「Carpe diem(今を生きよ)」というラテン語の言葉を紹介されました。「今日という一日を大切に、全力で生きること」、その積み重ねこそが思考を深め、他者と共により豊かな社会を築いていくことにつながるのです。私自身もこの言葉を胸に、一日一日を大切に生きることを心がけながら、思考と対話を積み重ねていきたいと思います。果たすべき役割を問い続けながら、社会や人々にとって少しでも力となれるよう精進してまいります。



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