ヤングセミナー
【レポート】人間塾2025年度第4回ヤングセミナー
2025年6月6日
2025年5月29日に第4回目となるヤングセミナーを開催いたしました。今回は、点が線になることを具体的なエピソードを用いて話しました。また人間塾で大切にしている言葉の中に「豊饒な人間になる」というものがありますが、この言葉についても塾生たちと一緒に考えました。塾生たちには、「深い思い」と「広い視野」を持ってこれからの自分の人生について考えてほしいと願います。
今回のレポーターは第14期生の若林秀です。是非ご一読ください。
塾長・仲野好重
人間塾第14期生 若林 秀
(立教大学 2年)
去る5月29日、第4回目のヤングセミナーが開催されました。今回のセミナーでは、「点が線になる」というテーマを考えました。また、人間塾の理念の一節にある「豊饒な人間になる」ことについて、人間塾ノオトを用いながら塾生全員が深く考え、思いを分かち合いました。
まず点と点がつながるというお話を塾長から伺いました。長く生きていると、奇跡のようなご縁や、思いがけない場所でのつながりが生まれることがあります。チョムスキーの著作について調べていた際、塾長は「コペンハーゲン学派」という言葉に出合いました。その時塾長は、演劇「コペンハーゲン」の翻訳家と友人だったことを思い出し、その演劇を観に行ったことも思い出したそうです。その内容は、物理学者であるボーアとハイゼンベルグの、謎めいたコペンハーゲンでの一日を語る演劇でした。
この物語で取り上げられた「量子物理学」は14期生の森君の専攻分野であり、さらにハイゼンベルグの父であるアウグスト・ハイゼンベルグはギリシャの古典文学者で、これは12期生の佐々木さんの専攻分野と繋がります。こうした繋がりから、出会いや経験を「点」で終わらせず「線」にしていくことで、新たな「物語」が生まれるのだと感じました。一緒にいて心地良い人、好きな学問などだけを自分の周りに置いてしまうと、自ら視野を狭めることになります。よって、いつ訪れるかわからない「繋がり」に常にアンテナを立てておかなければならないと感じました。また、「点」と「点」を「線」にしていく能力も磨いていかなくてはならないことも痛感しました。
次に、私たちは人間塾ノオトの17項にある「豊饒な人間」とは何かについて考えました。
塾長が「豊饒な人間」とはどういう人間をいうのか、と塾生に問うたところ、それぞれの塾生自身の中にある多様な「豊饒」が表現されました。発表の中では、「豊饒な人」とは何かを考えるうちに、自分の使命はいつ見つかるのか、知識ではなく知恵を身につけることの大切さなど、話題がさらに広がっていきました。「世のため、人のために毎日何ができるか」を考え続ける中で、私たちは新たな出会いや経験を重ね、やがて「豊饒な人間」へと成長していくと塾長は仰います。学生時代からそのような生き方を意識することは、将来、社会人としての生き方にも必ずつながっていきます。
私は特に、「自分を豊かにするために、今日をどう生きるべきか」について考えました。授業を受け、サークルに参加し、アルバイトをするというありふれた日常の中で何を学ぶのか、そして何を目指して生きていくのかを、改めて深く見つめ直す必要があると感じました。
今回のセミナーから一貫して学んだことは、小さな「点」に見える経験も、視野を広く持つことでやがて「線」になり、それが人生の軸につながっていくということです。「豊饒な人とはどんな人か」という問いに対し、皆の意見においては、それぞれが思い描く理想の人物像を語っているように感じました。
私はこれらの発言を聞いて自分の名前の意味を思い出しました。「秀」という字は穂が垂れる様子から、何事にも精通する人を意味しています。自分もそのような人になりたいと強く思いました。